今日は、朝から東京へ。夕方に帰ってきた。湿度がとても高かったと思う。
帰りに、駅ビルの中をふらふら歩いていて、出入り口で、両手が荷物でふさがっていた女性を見かけたので、代わりにドアを開けてあげたらものすごく感謝された。ロンドンだったら、せいぜい「Cheers.」か「Thanks.」くらい。
次のバスまで時間があったので、バス停のベンチで独り物思いに耽っていたら、またその同じ女性が来た。現在の時間を聞かれたので答え、次のバスの時刻を聞かれたので答えた。やっぱり「ありがとう」を何度も言われた。
しばらくまたぼけっと考え事をしていたら、その女性が、ちょっと離れるので荷物を見ていてほしいと頼む。なので、帰ってくるまで見ててあげた。
そして、その女性が戻ってきたら、手に白い紙袋を持っていて、「食べなさい、食べなさいっ」とそれを私に差し出した。「あんたにみたいに優しい人はいないよっ、ほらっこれっ」と強く言われた。「何これ?いーよ別に、私何もしてないし。」と言いながら開けてみたら、鯛焼きだった。
…わぁ。(前言撤回でもいいですか、の意。)いただくことにした。私が食べている間、いろいろな話をしてくれたけれど、その女性の生い立ちや親類の話のようだったので、私には相槌しか打てなかった。鯛焼きをくれた理由は、「優しい子だったから」だそうだ。どう考えたって、その女性の方が「優しいこと」をしていると思う。
バス停で結局50分くらい待っていたのだけれど、考え事をしたり、人と話したり、目で車を追ったりしていた。
人との距離も、時間も、意外に短い。
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8月末日。
日本に帰ってきて、あっという間の一ヶ月だった。バイトしかしていなかったからそう感じたのだと思う。同じことを毎日繰り返していると変化がないように思えるけれど、一番大きい変化は、時間が経つことそのものだ。だから、(人はわからない、自分の場合)迂闊に過ごしてはいけない、と反省した。迂闊に過ごさなかったとしても、反省することに変わりはなかったと思うけれど。この一ヶ月で、何が進歩しただろう、何ができなかっただろう、何をするべきだったのだろうと、それぞれのカテゴリに対して、立ち止まって後悔することが、流れた時間を把握するために自分には必要な習慣だ。というよりただの癖。
今日、バイトが最終日で早く終わったので、駅周辺を歩いてみた。そしたら、お店のところどころに「浪漫ギャラリー」という看板が出ていて、その駅周辺の昭和初期から50年ころまでの写真が貼ってあった。白黒の写真もあった。
駅の面影があるようなないような普通の写真だったけれど、見入ってしまった。魅入られた。ずっとあるものなのに、自分が(生まれてないので)見られなかったその場所。二度と戻らない風景。絶対に埋まらない、戻せない年の差(生まれていたら見れたけれど、そのために今後見られない風景もある)。そんな、時間の宿命を悟ったような気持ちになって、「浪漫じゃないじゃん」と思った。「パプリカ」みたいだ。でも興味深かった。振り返る、という行為は、すでに振り返る程の年月を持っているからできるので、やっぱり、年はとっていっているみたい。別に気にならない。
バンダイから、「スカイ・クロラ」の散香(プラモデル)が9月に発売の予定。しかもフィギュアも付いてる…。こんなことで、「日本にいたらなあ」と思う人は絶対に意思が弱いと思う。私は意志が弱い。本当はこの一ヶ月のうちに何か一機作りたかったけれど、願望で終わった。塗料を試しに開いてみたら、すでに気化または固体と化していた。何だ、元から使えなかったんだ…(笑)エアブラシも何だかかわいそうに見えた。
今、日本に帰ったら、自分が好きな情報を集めるのがすごく楽しいだろうと思う。以前がそうだったように。現在、優先の上位に入るものをやることが普通だと思うけれど、何が最高の満足となるのかは、考えるときりがない(最高の満足にきりがないのではなく、考えが連鎖して止まらない、という意味)。優先順位と、満足と、幸福と、そんなたくさんのことすべてが合致することって、あるのかな。
「合致」で思い出したけど…。
『黒目勝ち』
けっこう長い間、この言葉の意味を間違えていた。「黒目がち」の「がち」は、「黒目になりがち(ウサギか)」の「がち」だと思っていた。自分だけじゃないと思う。
皆様、夏の終わりは体調を崩しやすいそうです(父談)。ご自愛くださいませ。
日本に帰ってきて、あっという間の一ヶ月だった。バイトしかしていなかったからそう感じたのだと思う。同じことを毎日繰り返していると変化がないように思えるけれど、一番大きい変化は、時間が経つことそのものだ。だから、(人はわからない、自分の場合)迂闊に過ごしてはいけない、と反省した。迂闊に過ごさなかったとしても、反省することに変わりはなかったと思うけれど。この一ヶ月で、何が進歩しただろう、何ができなかっただろう、何をするべきだったのだろうと、それぞれのカテゴリに対して、立ち止まって後悔することが、流れた時間を把握するために自分には必要な習慣だ。というよりただの癖。
今日、バイトが最終日で早く終わったので、駅周辺を歩いてみた。そしたら、お店のところどころに「浪漫ギャラリー」という看板が出ていて、その駅周辺の昭和初期から50年ころまでの写真が貼ってあった。白黒の写真もあった。
駅の面影があるようなないような普通の写真だったけれど、見入ってしまった。魅入られた。ずっとあるものなのに、自分が(生まれてないので)見られなかったその場所。二度と戻らない風景。絶対に埋まらない、戻せない年の差(生まれていたら見れたけれど、そのために今後見られない風景もある)。そんな、時間の宿命を悟ったような気持ちになって、「浪漫じゃないじゃん」と思った。「パプリカ」みたいだ。でも興味深かった。振り返る、という行為は、すでに振り返る程の年月を持っているからできるので、やっぱり、年はとっていっているみたい。別に気にならない。
バンダイから、「スカイ・クロラ」の散香(プラモデル)が9月に発売の予定。しかもフィギュアも付いてる…。こんなことで、「日本にいたらなあ」と思う人は絶対に意思が弱いと思う。私は意志が弱い。本当はこの一ヶ月のうちに何か一機作りたかったけれど、願望で終わった。塗料を試しに開いてみたら、すでに気化または固体と化していた。何だ、元から使えなかったんだ…(笑)エアブラシも何だかかわいそうに見えた。
今、日本に帰ったら、自分が好きな情報を集めるのがすごく楽しいだろうと思う。以前がそうだったように。現在、優先の上位に入るものをやることが普通だと思うけれど、何が最高の満足となるのかは、考えるときりがない(最高の満足にきりがないのではなく、考えが連鎖して止まらない、という意味)。優先順位と、満足と、幸福と、そんなたくさんのことすべてが合致することって、あるのかな。
「合致」で思い出したけど…。
『黒目勝ち』
けっこう長い間、この言葉の意味を間違えていた。「黒目がち」の「がち」は、「黒目になりがち(ウサギか)」の「がち」だと思っていた。自分だけじゃないと思う。
皆様、夏の終わりは体調を崩しやすいそうです(父談)。ご自愛くださいませ。
臨時で、日本にいる間だけ携帯電話を持つことになった。3年ぶりの日本の携帯電話。
いつもは電話を受ける、かけることしかしなかった。今日は、iモードを使ってみたけれど、悪戦苦闘して、結局断念。画面を見すぎて目がかすんだ(<眠気)。
慣れってとても怖い。前は普通に使ってた携帯なのに、何か裏切られた気分がする(笑)。もしこれで、3年自転車に乗ってなかったら乗れなくなった、とかいう症状が現れたら、日本に帰ろうと思う。
当たり前だけれど、どんなに何かを長く続けていても、やはり今の自分に影響するのは今の生活であって、元には戻れないこともあるのだな、と思う。携帯電話も、お風呂の湯船も、好きなものも人も、今の生活に入っていないものは、再び取り込むのに時間がかかる。以前がどうだったかは、関係ないらしい。たまに少し悲しい。でも今が一番なのに違いはない。
まだ来ない宅急便の荷物は、「不届き物」でいいですか?
いつもは電話を受ける、かけることしかしなかった。今日は、iモードを使ってみたけれど、悪戦苦闘して、結局断念。画面を見すぎて目がかすんだ(<眠気)。
慣れってとても怖い。前は普通に使ってた携帯なのに、何か裏切られた気分がする(笑)。もしこれで、3年自転車に乗ってなかったら乗れなくなった、とかいう症状が現れたら、日本に帰ろうと思う。
当たり前だけれど、どんなに何かを長く続けていても、やはり今の自分に影響するのは今の生活であって、元には戻れないこともあるのだな、と思う。携帯電話も、お風呂の湯船も、好きなものも人も、今の生活に入っていないものは、再び取り込むのに時間がかかる。以前がどうだったかは、関係ないらしい。たまに少し悲しい。でも今が一番なのに違いはない。
まだ来ない宅急便の荷物は、「不届き物」でいいですか?
父の名言ウィズ機関車。
①父が、機関車を作るための小さなパーツがたくさん入ったケースを持ってきて、テーブルの上で広げていた。私が、「あー、可愛いね!ネックレスになりそうな形の、何かないかなぁ、車輪とか…。」とケースを覗いていたら、父が一言。
「これは鉛合金だからやめなさい。」
………ネックレスにすることは了解なんですか。
②夜、食卓にパンくずが落ちているところに、父が構わず、製作途中の機関車を置いた。私が、「あ、ほら汽車が汚れちゃうじゃん」と言うと、父が一言。
「パン食べたいって、汽車が。」
………え?
③夕食後、「俺は機関車作るから、お前はピアノをやったらどうだ。」と父が言う。私が、「私のピアノと、お父さんの機関車は同じなの?」と聞くと、「お前はピアノとか絵を描く時、手を抜くのか?」と言い、「だからみんな同じなんだ」とつなげた。意味が全く解らなかったけれど、説得力がある気がしたのはどうしてだろう。
①父が、機関車を作るための小さなパーツがたくさん入ったケースを持ってきて、テーブルの上で広げていた。私が、「あー、可愛いね!ネックレスになりそうな形の、何かないかなぁ、車輪とか…。」とケースを覗いていたら、父が一言。
「これは鉛合金だからやめなさい。」
………ネックレスにすることは了解なんですか。
②夜、食卓にパンくずが落ちているところに、父が構わず、製作途中の機関車を置いた。私が、「あ、ほら汽車が汚れちゃうじゃん」と言うと、父が一言。
「パン食べたいって、汽車が。」
………え?
③夕食後、「俺は機関車作るから、お前はピアノをやったらどうだ。」と父が言う。私が、「私のピアノと、お父さんの機関車は同じなの?」と聞くと、「お前はピアノとか絵を描く時、手を抜くのか?」と言い、「だからみんな同じなんだ」とつなげた。意味が全く解らなかったけれど、説得力がある気がしたのはどうしてだろう。
久しぶりに更新。
今日、日本に着いた。暑い…。ロンドンはジャケットを着てちょうどいいくらいの寒さだったので、空港に到着したときの湿気に驚いた。フランスは日焼けするほど日差しが強かったし、ロンドンは秋のような寒さだし、日本は真夏だし、世界の気候を味わった(たった3国)。
これから一ヶ月以上いられる予定なので、ピアノに集中しつつ、いろいろできたらいいと思う。更新もできると思う。
ずっと更新していなかったので何を書いたらいいかわからないけれど…。今日は、夏ということで怖い(?)話をひとつ。少し長いので興味のある方はどうぞ。
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今日も素敵な朝が来た。窓から差し込む太陽の光を浴びながら、真っ白なシーツのベッドから飛び起きた。僕はこの病院に入院している。だから、入院服というのかな、真っ白い服を着ているけれど、僕の体調は全然悪くないし、病院の中は新しくてとても綺麗だし、壁も床も真っ白だ。先生も優しいし、ここが好きだ。そして何よりも、僕と同じくらいの年の友達がたくさんいて、いつも一緒に遊べる。
真っ直ぐな黒髪の女の子が、「マサキくん!今日はかくれんぼしようよ!」と声をかけてくれた。他の子たちも呼んで、多目的ホールに集まって、今日は一日何をして過ごすか相談した。全然寂しくもならないし、学校みたいだ。時間を忘れて、本当に楽しく遊んだ。
その数日前。別の場所で、ある女性が、ヒステリックな声で警察の捜査官に叫んだ。「息子は、息子はどこ!お願い、探して…!探してちょうだい…どこに行ってしまったの、マサキ」
「落ち着いてください、ただ今全力で情報を集めていますから」捜査官はなだめるようにそう言った。
その日の夕方、病院の先生によって、入院している子たち全員が多目的ホールに集められた。何だろう。
「今日は、みんなにお話があります。」黒いふちの眼鏡をかけた女の先生が言った。
「今日、退院したい子はいますか?それとも、まだここに残りたいですか?」
「男の子を目撃したという証言がたった今入ってきました。行ってみますか?場所は…」捜査官が女性に言った。
「どこでもいいです!可能性があるなら、ぜひ…」女性はかなり疲れているようだった。
何を言っているんだろう、あの先生は。みんなここにいたいに決まってるじゃない。もちろん僕は、残る方に手を上げた。思ったとおり、みんなが僕と同じに手を上げた。
とその時、突然、背後から女の人の声が聞こえた。
「マサキ!マサキ!」
僕の名前だ。振り向いたら、どこかで見たことのある顔の女の人が、僕の方を見て泣き叫んでいた。
「やっと、やっと見つけた…よかった無事で…。こんなところで何してるの!早く家に帰りましょう!」
そうだ、お母さんだった。お母さんが、走りよってきて、僕の手をつかんだ。
「何してるのよこんなところで…本当に心配してたのよ!」
「でもね、僕またここに残ることに決めたんだ、たった今。先生も優しいし、友達もたくさんいるんだよ」
「な、何言ってるの…」
お母さんが僕の腕を強く掴んでいてとても痛かったので、ちょっとかわいそうだと思ったけど、勢いよく振り払った。
「心配しないでお母さん、僕、ほら、元気だし」
と言いながら、また捕まらないように僕は急いでお母さんから離れた。「じゃあ、またね!」
女性の目には、何も見えていなかった。いや、何も無かった。女性だけでなく、捜査官も何が何だかわからないという様子だった。
白い壁も床もベッドも、何もない。視界に入るのは、崩れ落ちた壁と、穴が空いて骨の見えた天井、ガラスの破片が飛び散る床。床のところどころに、子供一人分と思われる足跡がうっすら残っている。先生も友達も、もちろん見えるはずもない。女性の目に映るのは、暗闇の廃墟に消えてゆく、ぼろぼろの服を着て、棒のようにやせ細り、うつろな目で何かを求めて走る我が子だけだった。時折誰かと話しているような素振りが、後姿でわかった。
「ま、待って…」
女性の声は、もうかすれていた。
少年は笑顔で言った。「じゃ、今日は何をして遊ぼっか?」 (終)
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以上です。稚拙な文章ですみません。実は、これは数日前に見た自分の夢の話でした。とても興味深かったけれど、とにかく不気味でめちゃくちゃ不健康な内容じゃんっ!夢はコントロールできないけれど、とりあえず反省(笑)私の夢の場合、構成が複雑だし要素も多いので、分析はもうできないと判断。っていうか怖いのでしないでください(笑)何故か子供の話は男の子が多いし。
視点が、子供とその母親にフラッシュのように細切れで入れ替わっていたので、それは面白かった。子供の視点では、友達と毎日遊ぶ、ただただ幸せな感情が解ったし、母親の視点では、子供を思う愛情と、自分の手から離れる我が子を見つめる感じがよく伝わってきた。伝わってきた、というか、自分の脳からだけれど。文章が下手なので、解りづらいかもしれないけれど、絵柄や色や構図はよく覚えているので、絵の方がまだましかも…。と長々書いたけれど、たかが夢。
さあ、これから楽しい夏が始まる。
今日、日本に着いた。暑い…。ロンドンはジャケットを着てちょうどいいくらいの寒さだったので、空港に到着したときの湿気に驚いた。フランスは日焼けするほど日差しが強かったし、ロンドンは秋のような寒さだし、日本は真夏だし、世界の気候を味わった(たった3国)。
これから一ヶ月以上いられる予定なので、ピアノに集中しつつ、いろいろできたらいいと思う。更新もできると思う。
ずっと更新していなかったので何を書いたらいいかわからないけれど…。今日は、夏ということで怖い(?)話をひとつ。少し長いので興味のある方はどうぞ。
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今日も素敵な朝が来た。窓から差し込む太陽の光を浴びながら、真っ白なシーツのベッドから飛び起きた。僕はこの病院に入院している。だから、入院服というのかな、真っ白い服を着ているけれど、僕の体調は全然悪くないし、病院の中は新しくてとても綺麗だし、壁も床も真っ白だ。先生も優しいし、ここが好きだ。そして何よりも、僕と同じくらいの年の友達がたくさんいて、いつも一緒に遊べる。
真っ直ぐな黒髪の女の子が、「マサキくん!今日はかくれんぼしようよ!」と声をかけてくれた。他の子たちも呼んで、多目的ホールに集まって、今日は一日何をして過ごすか相談した。全然寂しくもならないし、学校みたいだ。時間を忘れて、本当に楽しく遊んだ。
その数日前。別の場所で、ある女性が、ヒステリックな声で警察の捜査官に叫んだ。「息子は、息子はどこ!お願い、探して…!探してちょうだい…どこに行ってしまったの、マサキ」
「落ち着いてください、ただ今全力で情報を集めていますから」捜査官はなだめるようにそう言った。
その日の夕方、病院の先生によって、入院している子たち全員が多目的ホールに集められた。何だろう。
「今日は、みんなにお話があります。」黒いふちの眼鏡をかけた女の先生が言った。
「今日、退院したい子はいますか?それとも、まだここに残りたいですか?」
「男の子を目撃したという証言がたった今入ってきました。行ってみますか?場所は…」捜査官が女性に言った。
「どこでもいいです!可能性があるなら、ぜひ…」女性はかなり疲れているようだった。
何を言っているんだろう、あの先生は。みんなここにいたいに決まってるじゃない。もちろん僕は、残る方に手を上げた。思ったとおり、みんなが僕と同じに手を上げた。
とその時、突然、背後から女の人の声が聞こえた。
「マサキ!マサキ!」
僕の名前だ。振り向いたら、どこかで見たことのある顔の女の人が、僕の方を見て泣き叫んでいた。
「やっと、やっと見つけた…よかった無事で…。こんなところで何してるの!早く家に帰りましょう!」
そうだ、お母さんだった。お母さんが、走りよってきて、僕の手をつかんだ。
「何してるのよこんなところで…本当に心配してたのよ!」
「でもね、僕またここに残ることに決めたんだ、たった今。先生も優しいし、友達もたくさんいるんだよ」
「な、何言ってるの…」
お母さんが僕の腕を強く掴んでいてとても痛かったので、ちょっとかわいそうだと思ったけど、勢いよく振り払った。
「心配しないでお母さん、僕、ほら、元気だし」
と言いながら、また捕まらないように僕は急いでお母さんから離れた。「じゃあ、またね!」
女性の目には、何も見えていなかった。いや、何も無かった。女性だけでなく、捜査官も何が何だかわからないという様子だった。
白い壁も床もベッドも、何もない。視界に入るのは、崩れ落ちた壁と、穴が空いて骨の見えた天井、ガラスの破片が飛び散る床。床のところどころに、子供一人分と思われる足跡がうっすら残っている。先生も友達も、もちろん見えるはずもない。女性の目に映るのは、暗闇の廃墟に消えてゆく、ぼろぼろの服を着て、棒のようにやせ細り、うつろな目で何かを求めて走る我が子だけだった。時折誰かと話しているような素振りが、後姿でわかった。
「ま、待って…」
女性の声は、もうかすれていた。
少年は笑顔で言った。「じゃ、今日は何をして遊ぼっか?」 (終)
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以上です。稚拙な文章ですみません。実は、これは数日前に見た自分の夢の話でした。とても興味深かったけれど、とにかく不気味でめちゃくちゃ不健康な内容じゃんっ!夢はコントロールできないけれど、とりあえず反省(笑)私の夢の場合、構成が複雑だし要素も多いので、分析はもうできないと判断。っていうか怖いのでしないでください(笑)何故か子供の話は男の子が多いし。
視点が、子供とその母親にフラッシュのように細切れで入れ替わっていたので、それは面白かった。子供の視点では、友達と毎日遊ぶ、ただただ幸せな感情が解ったし、母親の視点では、子供を思う愛情と、自分の手から離れる我が子を見つめる感じがよく伝わってきた。伝わってきた、というか、自分の脳からだけれど。文章が下手なので、解りづらいかもしれないけれど、絵柄や色や構図はよく覚えているので、絵の方がまだましかも…。と長々書いたけれど、たかが夢。
さあ、これから楽しい夏が始まる。