10時に家を出て学校へ向かう。今日はコンチェルトの二台ピアノの合わせがあるので、学校で伴奏をしてくれる友達と、11時に学校で待ち合わせた。
2時間くらいできた。全楽章通しの合わせは初めて。もう、信じられないくらい、難しい。あまりオケとの掛け合いの多い曲ではないのでその難しさではないのだけれど、メトロノームを使って齷齪(あくせく。こう書くんだ…。)練習していても、独自のテンポができあがってしまっていた。微妙なテンポ感のずれが、ちょっと後にしわ寄せになって、オケパートに後ろ髪を引かれる思い(使い方違うけど、文字通り)をする。オケが重たく感じる。早いうちに、テンポ設定をきちんと自分自身で把握するなりコントロールするなり、改善しておきたい。まだ全体像がうまく見えてない。何か、大変だな。
そのあと、その伴奏の子とカフェで昼食をとってから、今日は知らないことを知ろうと思って、その子にくっついて教会に行ってみた。どんな人も歓迎、と言っていたので、ふらふら立ち寄った、という方が正解かも…。よくは解らなかったのだけれど、感じるものがあった。疑問、に近い。機会があったら誰かに聞いてみよう。
こちらの教会は(というか日本で行ったことがないので知らないのだけれど)、どこも石造りで古いものが多い。吹き抜けというのか天井がとても高いし広々とした空間で、アコースティックが最高。そして大体の場所にピアノが置いてある。これは、ランチタイム・コンサートがとても一般的だからだと思う。他の国もそうなのかな。
帰りに電車の窓から、空に親指くらい(表現方法思いつかず)の虹が見えた。今日は雨は一度も降らなかったのに。この前も、ぼけっとテムズ川の流れを橋の上から見ていたら、広範囲で虹色が水面にうつっていた。ただの反射なのに、ちょっとだけ心を奪われた。
英語は「rain(雨)」+「bow(弓)」で見たまま、現象そのままを表しているのに対して、日本語(漢字)は「虫」+「工」だ。調べたら、「虫」は毒蛇の象形文字で、空に浮かぶ蛇のことを指し、「工」は何かを貫くさまを表しているらしい。蛇が空をまたいでいるような感じだろうか。…ところで、インターネットって便利だなぁ。
この表現の差は、けっこう著しいと思う。事実を素直に言えないのか、想像力が豊かなのか。時と場合でどうとでも言えるな。
とくだらないことを考えて時間を使ってしまった。
毎朝、コーヒーをドリップで淹れている。あの、朝一番に淹れるコーヒーの香りは、何にも変えがたい。生きててよかった、と思う。朝っていいものだな、と思う。きのうは、音楽のメロディで何かを思い出す、と書いたけれど、コーヒーの香りでも、思い出すものがたくさんある。
何をするでもないけれど、楽譜を読んだりネットをしたり、整理整頓をしてみたり、そんなことをしていると午前中がなくなった。もったいない。
午後はずっと練習。
目がとても疲れて乾いたので、この前眼科でもらったコンタクトレンズ用の目薬を、とうとう使ってみることにした。
こ、こわいな。
薬アレルギーなので、薬または薬状のもの、「薬」という字が入っている製品には過敏になる。匂いのするところにも近寄らない。もしこれで副作用が出たらどうしよう…。と言っても文字通り副作用が出るだけなので別にいいのだけれど、できれば避けたい。明日はレッスンだし。目薬を前にしてあれこれ考えて、えい、と点眼してみた。
何ともなかった。
何だ。
これからも使えることが判明して、よかった。
明日の朝、出てたりして…(笑)
明日はレッスンが、朝の9時から。
『チャイナ・ヴァーサス・マイ・アレジー』
そういえば、2年前に中国に行った時、中国人の友人たちは、私をよりによって「チャイニーズ・メディスン」の大博物館みたいなところに連れて行った。ちなみに彼らは私が薬アレルギーであることを知っていた。きっと、中国の偉大な歴史の一つである、そのものを紹介したかったのだと思う。ひぇぇ。(覚えている中では)一度も口にしたことがないので知らないけれど、たぶん成分的に、きっと漢方薬は平気なんだと思う。でも、やっぱり怖くて仕方がなくて、車が現場に向かっている時から、車の中で一人、彼らを呪っていた。
建物の前ですらですでに薬の匂いが察知できて、普通に植物の束みたいのがずらぁぁぁっと並んでいて、息を止めて館内に入ったら、もうそれでも薬の匂いで身動きが取れなくなった。危機を感じた。何て嫌な客だ(笑)知らん顔して、ダッシュで車の中に戻ってしまった。
それと、中国の地元で有名なデザートで、亀の甲羅何とかという、漢方薬入りの寒天のようなものが、あった。美容にいい、ということが有名らしい。プリンのような形で、黒かった。黒砂糖だと思う。友達に、「これを食べないと中国に来た意味がない」みたいな意味不明なことを言われて、お店の前でもだいぶ、言い争いをしていた(笑)どうやら、中でも相当の老舗で、有名な場所らしかった。仕方なく、お店に入るだけなら、と許した。たぶん美味しいものなんだと思う。見た目は本当にただの寒天だったし。お店は大繁盛で、人がたくさんいたのを覚えている。
漢方薬なんてたぶん、ほんの微量しか含まれていないんだと思うけれど、説明書きを見ると、もう漢字ばっかりなので意味が解らないし「薬」という字しか目に入らないし、だいぶパニックだったと思う(笑)目の前に出てきた時、きっと何かの試練なのだと思った。何て嫌な客だ(笑)覚悟を決めて一口(というか雀の涙くらい)いただいて、申し訳なかったけれど、そこで終わりにさせていただいた。友人にあげた。
ということが、あった。
朝がすごく寒い。朝、部屋から見える空はいつもいつも灰色。そして暗い。
もう日が短くなり始めている。
午前中は、所用。
午後から練習へ。今は主にサンサーンスの協奏曲を勉強しているけれど、だんだん、楽しくなってきた。オケの音が頭の中でずっと鳴っていて、「ここでこう来る!」と予想して弾いたり、時に指揮者を見る余裕を確保するために、自分が没頭(コントロール消失)していないか常に確認したり、コンチェルトが初めての自分に取っては、音楽以外の要素も多い。
夕方から、パスカル先生の今年初めてのトライアウトクラスがあった。新入生が何人かいて、その中の一人がリストのハンガリアン・ラプソディを弾く。技巧がすごかった…。
教室には20人弱の生徒がいて、ファミリーが大きくなっていた。何か、圧巻だった。
実家で、懐かしいCDを見つけたのでiPodにいろいろ入れてきた。
地下鉄に乗っている時に、ちょうど黒夢の「少年」が流れたのだけれど、何というか、ロンドンの地下鉄の雰囲気もあって、とたんに不健康な気分になってしまった(笑)けだるい、暗い、もやのかかったような、なのに攻撃的で、哀しい感じ。
好きで、何回も繰り返し聴いていた曲だったから、体に染み付いているのか、そのサウンドが勝手に当時の匂いや環境や友達や、その思い出を引き出す。バンドをやってた頃、その時の友達に話したこと、興味を持っていた音楽、自分はこうでありたいと願う強い執着心。いろいろ頭の中に駆け巡るのだけれど、当時の自分と今の自分が一致しないことに、違和感がある。思い出をシェアした別人のよう。自分が本当に当時と一直線に繋がっているのか、疑わしい。どこかで決定的な切れ目が、あるんだと思う。
ともあれ、コピーしていたバンドの曲をいまさら聴くのは、本当に面白い。誰がこんな風に歌って、弾いて、叩いてたんだよ、という…(笑)
一つは、水色とピンクの双子の小熊が出てくるアニメ(夢の中の、架空のアニメ)がどうしても思い出せなくて、双子のもう一人(現実の、本当の妹。笑)に聞くために彼女を探しに出る話。学校の公衆電話(普通の黄緑色)でかけていたら後ろから妹が来て、「何だぁ」と思ったら、彼女は近くのロッカーをさっと開けて、今度はオレンジ色の公衆電話が中から出てきた。それを見ていたら、後方から水色とピンクの双子の小熊が歩いてきた(笑)
二つめは、戦争だと思うけれど、砂埃や爆撃の中を駆け抜けてビルに入り、14階まで上った。窓から壮絶な景色が見えた。広い花壇の花たちが、爆風とともに端から灰色に変わっていき、大きな桜の木の花たちは、雨によって、何と色が水彩絵の具のように落ちていった。紅だけがはらはらと空に撒き散って、樹には灰色の花びらだけが残った。天野喜孝の絵のようだった。この様子を窓から見下ろしていた話。その階にはいろんな難民の人たちがいたけれど、あきらめたように皆笑っていた。
三つ目は、架空の双子の妹の話で、その子がどうしようもない悪い子で、それを直すには私とその子の体をお腹で真っ二つに切って、上半身を入れ替えてまたくっつければいい、というものすごいストーリーだった。しかも接着剤を使わなければいけなかった。ドラえもんか。でも、その説明だけで夢は終わってしまった。
起きたら映画を見たような満足感でいっぱい(笑)自分のことながら、想像力がすごい。何の影響だろう。色や双子の話が多かった。
さて、朝から出かけて、不動産屋に行って用事を済ませて、夕方学校に行って、ヴァイオリンの子と合わせをした。チャイコフスキーの「セレナーデ・メランコリック」。来週彼女のレッスンについて行く。クライスラーの「プレリュードとアレグロ(出だしのEBEBが印象的)」もやることになった。
で、その子が今日、面白いことを言っていた。試験で間違えずに弾くのは難しい、という話をしていて、「弾きなおし」や「暗譜飛んでつなぎのために変な音出す」のって減点なのかねー、と私が何気なく言ったら、その子は、
「あぁ、お手つきね~」
……カルタ???見事な言い換えに笑ってしまった。特にピアノの場合、一人きりなので間違えたら何かしら音を出していなきゃ、無になってしまう。鍵盤に間違えて触る、という、ピアノにはぴったりな言葉だった。
家に戻って、焼きそばとスープを作って食べたあと、ものすごい勢いで荷造りを終わらせた。明日、引っ越す予定。
※明日から当分、インターネットが使えなくなりますが、もし、チャンスがあったら更新します。しばらく、ここを留守にすると思います。それではまた。
ということで、掃除をするために早く起きた。
部屋を来たばかりの時のようにきれいにした。カーペットなので、念入りに掃除機をかけて、いらないものは全部物置に入れて、よし…。次にキッチン。コンロを磨いて、テーブルをピカピカにして、シンクも磨いた。キッチンとリビングの床、廊下のカーペットも玄関も。多すぎる靴も片付けた。ふぅ…。あっという間に11時半になってしまった。バスルームはフラットメイトが掃除してくれた。
不動産の人がハローと来て、写真をチカチカ適当に撮って、スィーユーグッバーイ、とすぐに帰っていった。リビングもキッチンも、撮ってないじゃん…。
と、普段あまり綺麗にしないので、こういう突然の来客にどきどきして掃除をしてしまう、小心者である。普段からやっておけば何も心配ないのに。フラットメイトと、「この掃除ってする必要、あったかな」と疑問を投げかけて終わった。これからの人生何回も引っ越すだろうけれど、家はこまめに掃除できる女性になろうねと、それぞれ誓った。
お昼を簡単に食べて、学校に行く。グランドピアノで練習したかったので。
サンサーンス協奏曲の2楽章の暗譜が、完了した。やった…。サマーコースまでに、もしかしたら全楽章そろえられるかも。頑張るぞ。すごく熱中していて、気づいたら7時になっていたので、急いで家に帰る。
今日はお好み焼とオニオン・スープ(具=玉ねぎのみ)を作って食べた。お腹いっぱい。
明日は、ヴァイオリニストの合わせと、所用。