毎朝、コーヒーをドリップで淹れている。あの、朝一番に淹れるコーヒーの香りは、何にも変えがたい。生きててよかった、と思う。朝っていいものだな、と思う。きのうは、音楽のメロディで何かを思い出す、と書いたけれど、コーヒーの香りでも、思い出すものがたくさんある。
何をするでもないけれど、楽譜を読んだりネットをしたり、整理整頓をしてみたり、そんなことをしていると午前中がなくなった。もったいない。
午後はずっと練習。
目がとても疲れて乾いたので、この前眼科でもらったコンタクトレンズ用の目薬を、とうとう使ってみることにした。
こ、こわいな。
薬アレルギーなので、薬または薬状のもの、「薬」という字が入っている製品には過敏になる。匂いのするところにも近寄らない。もしこれで副作用が出たらどうしよう…。と言っても文字通り副作用が出るだけなので別にいいのだけれど、できれば避けたい。明日はレッスンだし。目薬を前にしてあれこれ考えて、えい、と点眼してみた。
何ともなかった。
何だ。
これからも使えることが判明して、よかった。
明日の朝、出てたりして…(笑)
明日はレッスンが、朝の9時から。
『チャイナ・ヴァーサス・マイ・アレジー』
そういえば、2年前に中国に行った時、中国人の友人たちは、私をよりによって「チャイニーズ・メディスン」の大博物館みたいなところに連れて行った。ちなみに彼らは私が薬アレルギーであることを知っていた。きっと、中国の偉大な歴史の一つである、そのものを紹介したかったのだと思う。ひぇぇ。(覚えている中では)一度も口にしたことがないので知らないけれど、たぶん成分的に、きっと漢方薬は平気なんだと思う。でも、やっぱり怖くて仕方がなくて、車が現場に向かっている時から、車の中で一人、彼らを呪っていた。
建物の前ですらですでに薬の匂いが察知できて、普通に植物の束みたいのがずらぁぁぁっと並んでいて、息を止めて館内に入ったら、もうそれでも薬の匂いで身動きが取れなくなった。危機を感じた。何て嫌な客だ(笑)知らん顔して、ダッシュで車の中に戻ってしまった。
それと、中国の地元で有名なデザートで、亀の甲羅何とかという、漢方薬入りの寒天のようなものが、あった。美容にいい、ということが有名らしい。プリンのような形で、黒かった。黒砂糖だと思う。友達に、「これを食べないと中国に来た意味がない」みたいな意味不明なことを言われて、お店の前でもだいぶ、言い争いをしていた(笑)どうやら、中でも相当の老舗で、有名な場所らしかった。仕方なく、お店に入るだけなら、と許した。たぶん美味しいものなんだと思う。見た目は本当にただの寒天だったし。お店は大繁盛で、人がたくさんいたのを覚えている。
漢方薬なんてたぶん、ほんの微量しか含まれていないんだと思うけれど、説明書きを見ると、もう漢字ばっかりなので意味が解らないし「薬」という字しか目に入らないし、だいぶパニックだったと思う(笑)目の前に出てきた時、きっと何かの試練なのだと思った。何て嫌な客だ(笑)覚悟を決めて一口(というか雀の涙くらい)いただいて、申し訳なかったけれど、そこで終わりにさせていただいた。友人にあげた。
ということが、あった。
朝がすごく寒い。朝、部屋から見える空はいつもいつも灰色。そして暗い。
もう日が短くなり始めている。
午前中は、所用。
午後から練習へ。今は主にサンサーンスの協奏曲を勉強しているけれど、だんだん、楽しくなってきた。オケの音が頭の中でずっと鳴っていて、「ここでこう来る!」と予想して弾いたり、時に指揮者を見る余裕を確保するために、自分が没頭(コントロール消失)していないか常に確認したり、コンチェルトが初めての自分に取っては、音楽以外の要素も多い。
夕方から、パスカル先生の今年初めてのトライアウトクラスがあった。新入生が何人かいて、その中の一人がリストのハンガリアン・ラプソディを弾く。技巧がすごかった…。
教室には20人弱の生徒がいて、ファミリーが大きくなっていた。何か、圧巻だった。
実家で、懐かしいCDを見つけたのでiPodにいろいろ入れてきた。
地下鉄に乗っている時に、ちょうど黒夢の「少年」が流れたのだけれど、何というか、ロンドンの地下鉄の雰囲気もあって、とたんに不健康な気分になってしまった(笑)けだるい、暗い、もやのかかったような、なのに攻撃的で、哀しい感じ。
好きで、何回も繰り返し聴いていた曲だったから、体に染み付いているのか、そのサウンドが勝手に当時の匂いや環境や友達や、その思い出を引き出す。バンドをやってた頃、その時の友達に話したこと、興味を持っていた音楽、自分はこうでありたいと願う強い執着心。いろいろ頭の中に駆け巡るのだけれど、当時の自分と今の自分が一致しないことに、違和感がある。思い出をシェアした別人のよう。自分が本当に当時と一直線に繋がっているのか、疑わしい。どこかで決定的な切れ目が、あるんだと思う。
ともあれ、コピーしていたバンドの曲をいまさら聴くのは、本当に面白い。誰がこんな風に歌って、弾いて、叩いてたんだよ、という…(笑)
午前中は、掃除や洗濯などをして、午後から出かける。
友達の家に遊びに行って、4時間くらい話していた。彼女は10月に日本に帰国する。もう戻ってこない。性格も好みも全く合わないのに、なぜか話だけは合って、この3年、ずっとお互いの相談相手になっていた。いなくなったら寂しくなると思う。いろいろ聞いてもらったし、聞いた。いい時間を過ごした。
そのあと、学校に行って、練習していたらいつのまにか夜だった。
けっこう重要な悩みが心の中にあったりすると、その反動のようにものすごい集中力が発揮できたりする。音楽もうまく作れる時が多い。悩み事があってピアノに集中できない、という人もいると思うけれど、私の場合、ピアノを弾いている時が一番落ち着くことが多い。すべてを忘れて、独りになるからだ。それはもちろん練習の時だけで、パフォーマンスはまた別だけれど…。
帰ってから、海鮮炒飯とスープを作って食べた。前はものすごい量を食べていたのに、少し淑やかになったらしい。
『一心不乱』
一つのことに心を注いで他のことのために乱れないこと(広辞苑)
しかし、私の場合、この状況を思い浮かべるとすると、どうしても、髪はかき乱れ目は鬼気迫り、汗を流して身振り大きく…というイメージになる。「不乱」とは程遠い。言葉の意味とイメージのギャップが、けっこうある。
ロンドンは、雨が多く風も強く、すごく寒い。長袖のカットソーにさらにジャケットを着ている。今年、ロンドンには猛暑が来なかった。
今日は、どうしてもNational Galleryに行かなくてはいけない気がして、行ってきた。
トラファルガー広場の目の前に位置する、ナショナル・ギャラリー(入場無料)。ピカデリーサーカス駅から徒歩5分くらい。
こちらが、ギャラリーを背にして見える、トラファルガー広場(スクエア)。天気悪いなぁ…。
ふらふら美術館に行くことがなくなって、何かを忘れそうになっていたことに気づいて、部屋も片付いていないのに、今日は飛び出した感じだった。自分は何を探したいのだろう。
入って絵を見て5分、隣で絵を見ていた人が話しかけてきた。
「エクスキューズ・ミィ。この絵についてどう思う?」
日本と違って直球だ。でも、答えた。
「もしよかったら僕と次の絵を見に行かない?」
別によかったのでいいよと答えたけれど、言葉の端々に何か、違和感を感じる。「君の名前は?」と聞かれたのでファーストネームを答えると、「その名前の発音はいったいどこから来るの?」という。普通、「どこから来たの(国籍は)?」と言うところなのに、言い回しが変だ。彼は、バングラデッシュから来ていて、弁護士だそうだ。国際弁護士(何と訳すのか知らない。International Lawyer)になりたくて、ここで勉強していると言っていた。だからかな?ととりあえず納得する。
たとえば、ゴッホの「ひまわり」の黄色は友情と希望を表しているけれど、その絵を目の前にして、それは何故だ、と聞く。「なぜって、それ私に聞いてるの?」と言うと、「僕は君の他にしゃべっている相手は今はいないよ」となる。日本に行ったことがあると話していて、奈良で鹿にえさをあげた話も出た。そしたら、いきなりなぞなぞが。
「What do you call the deer without eyes?」
答えを聞いて、反応に困ったけど、嫌いじゃなかった。有名なのかな?
「絵が好きなの?」と聞いても、「うん、まあイエスと答えてもいい質問だ」みたいな感じで、思わず笑ってしまった。「僕は何歳に見える?」と聞くので、見たまま答えたのだけれど、「よいよい。もし君がサーティ~と言ったら、僕は今日ここで君に会ったことを後悔しなくてはならなかった」だそうだ。
他にもいろいろな絵を詳しく説明してくれて、私にはとても面白かった。英語が良いね、と言われて少し嬉しかった。ただ、最後に、これからバッキンガム宮殿に行くから一緒に行こう、と言われたので、お断りした。「ここでお互いに会って、絵やいろいろな話をして楽しかったけれど、それで満足することにしませんか」と。一期一会が嫌いな人のようだった。「もう一回会えないのなら、今君とここで会ったことに意味がなくなる」とも言う。その人がとても熱心に説得するので、見ていて、そのエネルギーがうらやましかった。断っているだけなのに、悪いことをしている気になった。とてもユーモラスな人だった。
独りになるためにここに来たけれど、結局独りにならなかった。でも、それは次の機会でいいか、と思える一日だった。
ノー・アイディア。でした。
IE7が目についたので、何を血迷ったかとりあえずインストールしてみることにした。インストールしたはいいけれど、何か合わない(というか、パソコンの知識がそもそもないのがいけない)感じがしたので、アンインストールして元のIE6に戻ったら、今度はインターネットに繋げなくなって、どんどんおかしくなってしまったので、リカバリ(リブート)することに。ウィルスにでも感染したのかと思った。それか、パソコンの寿命かと思った。
リカバリしたあとは、ネットにはつながっているのに、ページが開けないということがずっと続いて、結局何もできないまま、電源をおとして泣き寝入りした(ほんとは泣いてない)。
で、今日の朝、(自分が)心機一転して、再びリカバリ。こんなに何回もやったらパソコンが傷みそうだけど、仕方ない。がんばれっ…。
そして、やっと普通の状態に戻った。ふう、よかったーーーー!!!
面倒というより、ただ時間がかかるのが嫌だったけれど、どうにかなった。何とか、持ちこたえてほしい。もう悪いことしないよぉ。
コンピュータは、修復できるからいいな、と思う。
今日から毎日、更新します。