8時半起床。早く起きる必要ないのにしくじった。
こんなに続いていいのかな、と不安になるくらい良い天気だ。
座布団を使って座っているけれど、上を向いたらいつも青空がある。
午前中と午後は、練習していた。久しぶりにグリーグ協奏曲の2,3楽章を弾いたら、見事に忘れていてびっくりした。暗譜に時間はかからないと思うけれど、コンペティションが近いので、じっくりきちんとやろうと思う。あとはVnソナタのピアノパートやリスト伝説、新しく勉強しようと思っているヒナステラ、など。
夕方4時に家を出て、5時にEmbankment駅で友達と待ち合わせる。
バレンボイム(Daniel Barenboim)のベートーヴェン・ピアノソナタ演奏会がRoyal Festival Hallである。開演は7時30分。なぜ5時にホールへ行ったかというと、2人ともチケットを持っていないから(笑)リターン・チケットが目当てで今日は来たので、聴ける保証はなかった。2時間半前に来たにも関わらず、すでにそこには15人ほどの列があった。しかし、幸運なことに、7時半ぎりぎり手前で2枚チケットを手に入れることができた。ラッキィだったがお腹がすいていた。
もちろん、会場はほぼ満員。
日本と違って撮影禁止ではないので、普通に撮らせていただいた。
ピアノはこの位置。ということで、鍵盤と手は見えそうにない。でも、観客全員を見ることができて、まるでオケの一員(永遠の憧れ)か、自分がステージに立ったような感覚になった。
前半:13番(Op.27-1 E♭)、7番(Op.10-3 D)
後半:27番(Op.90 Em)、21番(Op.53 C”ワルトシュタイン”)
あんなに素敵なピアノを久しぶりに聴いて、かなり興奮した。どの曲も知っているけれど、もう、どの1音もすべて意味を持っている、意思の強い音だった。何をしたいかがわかる、伝わらない部分がない、という音楽だった。ホールの一番端まで彼の音楽が充満しているようだった。素晴らしかった。27番を除く3曲は譜読みを含め弾いたことがあるけれど、バレンボイムの弾いているものは忠実に楽譜に沿っていて、スフォルツァンドやその他ベートーヴェン特有のアーティキュレーションなど、個人で変えていることなんて一つもない。なのにどうしてあんなに音楽的に弾けるのだろうと不思議だった。オーケストラの音のようにも聞こえた。まるで球体の水の塊があちらこちらでバシャバシャしているような、そんな立体感があった。
今日誘ってくれた友達に感謝。
ワルトシュタインの最後の音と共に、拍手喝采、ほぼ全員でのスタンディング・オベーションとなった。
左右後ろの客席にも、丁寧におじぎを。
とにかく、最高の演奏会だった。ベートーヴェンを大好きにさせてくれる、そんな演奏だった。彼は本物のgiftedなピアニストだし、彼が、私たちオーディエンスにとってgiftだ。
夜景。
遅くなってしまったので、友達と気を引き締めて帰る。あまり浮かれてふらふら歩いているとろくなことにならない。
10時半に家に到着。フラットメイトが、「電話しようと思っていた」と言ってくれた。私たちは、暗黙の了解で、どちらかが遅いと必ず電話をかけるようになっている。男性ならともかく、女性の夜道、特にロンドンは危機感を持つに越したことはないので。その一言が嬉しかった。